山王史跡公園あやめ園
二十四節気の各節気をさらに3つに分け、季節の微妙な移ろいを示す七十二候。この暦によれば「菖蒲華(アヤメハナサク)」は6月26日から7月11日を指します。そんな季節の花に誘われて、栗原市一迫にあるあやめ園を訪れる人も多いことでしょう。ここは、国指定の史跡「山王囲遺跡」の遺跡保存のために町ぐるみ、住民ぐるみでつくりあげた花園です。その花園へ向かう途中も楽しめます。
美しい流れにかかる縄文橋を渡り、山王考古館や竪穴式住居のある公園を通り抜けると、山王池の向うにあるやめ園が広がります。1.3haの敷地に、300種22万株のアヤメ、カキツバタ、ハナショウブが植栽され、白、紫、青の涼しげなグラデーションが見事。古代人は、美人のことを「顔佳人(かおよびと)といい、万葉集の中で愛しい人への呼びかけとして、顔佳花(かおよばな)と詠んでいたのがカキツバタだという。そんな背景を知れば、ますますこの3種の花は史跡を彩るのにふさわしいと思えてきます。
ひときわ日本的な佇まいを見せてくれるのが「長井古種」や「江戸古種」。こうした希少な品種を見られるばかりではなく、「ハナショウブ改良史跡園」といった、学習のための区画も用意されています。また、3年ごとに色が変わるという変わり花や、香りの高いアメリカのルイジアナアイリスなど、鑑賞派にも園芸好きにも見ごたえがあります。5月下旬からアヤメ、カキツバタ、ハナショウブと次々に咲いていきますが、毎年ハナショウブの開花時期に合わせて「あやめまつり」が開催されます。