村上屋餅店
仙台藩伊達家の御用菓子司として繁盛してきた「村上屋餅店」。ショーケースには個性豊かな餅菓子が並び、どれを選んだらいいか悩むのもまた楽しい。とはいえ、春はやはり、桜の葉がかぐわしい「さくら餅」に心が惹かれるのではないでしょうか。この店では日本各地で桜が咲いている期間、ケースにさくら餅が並んでいます。既成の道明寺粉ではなく、生の餅米を使い、適度な大きさに砕いているそうです。
バクッと口に含むと、塩漬けされた桜の葉と、つぶの形をした餅米、ほどよい甘さのこしあんの味わいが、ふわっと口の中に広がります。淡いピンク色の「いちごミルク大福」も、季節を感じる餅菓子です。餅菓子づくりの際に村上社長が心がけていることは「美しく食べて健康に」ということです。例えば、ノンカロリーの希少糖とぶどう糖、果糖からなる「レアシュガースウィート」を一部の餅菓子に採用しているそうです。
水は、アルカリイオン水を使用しています。それは米によく浸透する性質を持つため、固めの米に育ってしまった年も、柔らかい餅に仕上がったからだそうです。餅米はみやここがねの無洗米。とぎ汁を減らすことで、環境への負荷を軽減しています。熟練の技と味だけではなく、人を思うやさしさがあるからこそ、老舗なのでしょうね。四代目という村上康雄社長は、これからもこの伝統を守り続けていくことでしょう。