手打ちそば「てらっぱだげ」
石巻市雄勝町にある手打ちそば「てらっぱだげ」は、「寺畑」を地元の言葉でいうとこうなるということのようです。この店は、千葉さんが長年勤めた公務員を辞め平成20年に自宅近くに開店させたものです。やっと軌道に乗り始めた平成23年にあの東日本大震災で、すべてを失ってしまいました。再起のきっかけとなったのがボランティアさんたちの献身的な支援でした。その甲斐あって平成24年秋に再オープンすることができました。
この店では、藪そばと更科そばを打ち分けて提供するのが特徴です。まず藪そばはそば粉十割に対してつなぎが外二割の中細切りで、食べてみると、まずそばの香りが立ち、適度なコシが食欲をそそります。一方の更科はそば粉八割、つなぎ二割で、見るからに白く細く、のど越しがとてもいい。鰹や昆布、どんこなどを吟味した出し汁と、一カ月寝かせた本返しで作るつゆは、まろやかで渾然一体となった味わいです。
メニューはそれぞれの「もりざる」、鴨南蛮などですが、二色もりざるなら、両方をぜいたくに味わえます。そして、海老や野菜など6ないし7種類が盛り込まれる天ぷらも人気です。これからの季節は、東松島産の大ぶりの牡蠣を使った「牡蠣そば」「牡蠣ざる」も見逃せません。裏手の工房から雄勝湾を眺めると、穏やかな海とは対照的に、海辺では重機が忙しく動いています。「てらっぱだげ」の再起がいかに早かったのかが解ります。