しおがま千賀の浦わかめ
歌枕として知られる塩釜「千賀の浦」。波が穏やかな漁場を生かし、三陸産に負けないおいしいワカメを育てようと、宮城県漁業協同組合塩釜第一支所「ワカメ・昆布部会」の4人の生産者が種から開発し、震災を乗り越えて生み出した新品種が「しおがま千賀の浦わかめ」です。これが、塩釜の新名物として注目を集めています。このワカメは、三陸産よりも丈が短く、茎と葉が一体で味わえ、シャキシャキとした歯触りが楽しめます。
さっと水洗いしてそのままサラダで、また味噌汁やスープ、煮物、炒めものにしても煮崩れしにくく、こころよい歯応えが堪能できます。「ワカメ・昆布部会」のメンバーが新たなブランドワカメの開発に着手したのは2011年です。しかし、間もなく東日本大震災が発生し、養殖に欠かせない船やメカブが流されてしまいました。部会では近隣の漁場と連携して採苗用のメカブを確保し、複数種の組み合わせを試しながら交配を重ね、さらに通常は2、3日かかかる脱水、塩蔵の作業が2時間でできる加工装置も導入しました。
これにより、水揚げしたてのワカメを浜で短時間に加工できるようになったため、鮮度と豊かな風味も保てるようになりました。「どこにも負けない自信作です。栽培、加工の仕方が違うと、ワカメがこんなにおいしいことを知ってほしい」と部会長の水間正夫さんは胸を張っています。「しおがま千賀の浦わかめ」が最もおいしい12月中旬から3月の中旬までの短期間に収穫し、塩蔵して1年出荷しています。