あぶり焼きかき
宮城県の味覚である「かき」は、昨年の大震災で壊滅的な被害を受け、今年の生産量は大幅に減少し例年の10分の1ほどです。こうした厳しい環境にありながら、伝統の味を一日も早く消費者の皆さんに届けようと取り組んでいるのが、石巻市の万石浦で生産している保原商店です。この会社の人気商品は「あぶり焼かき」というシンプルなものです。
その製法はというと、カキを蒸して、焼いて、冷やすという一見簡単な調理法なのですが、そこには独自のノウハウが隠されているのでしょう。製法は震災前と変わらないが、原料となるカキの出来具合はとてもいいといいます。その理由は、海の状態がとてもよくなったからだということです。つまり、津波で海底のドロが波にさらわれたというわけです。
石巻湾内ではホタテやホヤなどが少なくなり、植物プランクトンが豊富になりました。そのため、例年なら2年かかるところ、1年で立派なカキになったのだという。海には大量のカキがあるが、剥き身にする処理場の多くが壊滅的状態にあるため出荷ができない。保原社長は、心のこもった手紙や義援金をくださった方々の気持ち応えるため、そして従業員の生活を守るため、厳しい現実に立ち向かっています。