ちょっぴり悲しくてホットな話
先日、ある老夫婦がひょっこり店を訪れ、入り口に立ってこう言ったのです。「店の中に入ってもいいですか?」。けげんに思いながらも、どうぞお入りくださいと声をかけると、ありがとうございますと言って二人で入ってきました。不思議に思っていると、私たちは福島から来たんですが、本当に店に入ってもいいんですか?と重ねて言うのです。
よく話を窺って見ると、あるとき、知り合いが避難所にいるので、ボトルに入った水を届けに行った時、福島ナンバーの車を見たとたん、避難所に入ることを拒否されたというのです。幸い、傍いい合わせた自衛隊員が、ボトルを渡してくれることになったのですが、とても悲しい思いをしたので、それ以来、店などに入る場合は必ず了解を得ることにしているということなのです。
どんな事情があったのか、前後関係のことは解りませんが、福島ナンバーの車というだけで、頭から拒絶されてしまうのではたまったものではありません。住民の不安は解らなくもありませんが、これとても政府の対応のまずさに起因するものではないでしょうか。何が危険で、何に気をつけなければならないのかを明らかに示さないことが、こうした悲しい出来事に繋がっているように思われてなりません。