栄存神社(その1)
栄存神社は、石巻市牧山と江ノ島の2ヶ所にあります。ここに祀られているのは栄存法印というお坊さんである。栄存法印は、元々は豊臣家の家臣と言われ、大阪城落城後に奥州に下り仙台の満願寺にいましたが、伊達家の家臣、笹町但馬に求められ、寛永18年(1641年)当時荒廃していた石巻牧山の別当となり、霊場の再興を果たしました。
栄存法印は、高徳の僧であったため、領民から尊敬を受けましたが、但馬の死後、後を継いだ笹町新左衛門重頼は、これを妬み邪悪な村人をそそのかし、牧山境内を奪わせたので、怒った法印は藩に訴えましたが、逆に悪巧みにはまり冤罪の汚名を着せられ江の島に終身流罪にされました。栄存法印は昼夜を問わず祈祷を続けましたが、その願いも叶わず、延宝9年(1681年)2月6日なくなってしまいました。
栄存法印は、死の直前に島民を集め、「私の遺体は、必ず逆さまにしてくれ」と遺言し、天を睨んだままなくなりました。ところが島民たちは、藩からの処罰を恐れて、栄存法印の遺体を普通に埋葬してしまいました。そのためか全く漁が振るわなくなったり、厄病が流行したりしたため、島民たちは栄存法印の遺体を掘り起こし、遺言に従って逆さに埋葬し直しました。すると、不思議なことに凶事が治まったということです。