神道と仏教の違い(その1)
今年もいよいよ年の瀬。やれやれ、本当に大変だったよと感じる方も多いと思います。お正月を迎えたら、「今年は平穏無事に過ごしたい」「健やかな毎日をおくれますように」との願いを込めて、神社やお寺に初詣にお出かけください。初詣は心機一転、新しい自分に生まれ変わる大きな転機になるものです。そして、神社やお寺に行くならば、ぜひその神社の神様やお寺の仏様のことを知りましょう。お参りしているところがどんなところかわかるだけでも、その楽しさに差が出てくるからです。楽天イーグルスの観戦をするにも「選手が全然わからない」というより、「地元宮城出身の岸投手の活躍に期待だね」と、選手のことを知るだけで野球観戦も格段に楽しくなるのと一緒。「へぇ~、この神社にはこんな神様がいるのか」「このお寺の仏様、こんなふうに私たちを救ってくれるのね」。
そんな気持ちをもって参拝するだけでありがたさが増しますし、神様仏様からのご加護を受けやすくなりますよ。では、そもそも神社とお寺の違いって何でしょう。神様が神道で、お寺が仏教ということは皆さんもご存知と思いますが、具体的に何が違うのかと問われると意外と難しいですよね。特に日本では平安時代から「神仏習合」といって互いに交じり合った時代がながいので尚更。京都に鎮座する日吉大社などは、天台宗総本山比叡山延暦寺の守護神となったくらいです。神社がお寺の守護神ってすごくないですか? だけど、もともとは神道と仏教って、概念自体がまったく異なるものだったのです。まず大きな違いが信仰の対象そのものです。神社では神様を拝み、お寺では仏様を拝む。日本人の言う神様とは身のまわりにいる八百万の神々のこと。
本居宣長は「古事記伝」の中で次のように定義しています。「鳥獣木草のたぐい海山など、其余何にまれ、尋常(よのつね)ならず、すぐれたる徳(こと)のありて、可畏(かしこ)き物を迦微(かみ)とは云なり」。尊くも良い力をもたらすものだけでなく、悪いものもまたすべてかみであるということ。つまり神様とは人間自身が感じ、見出すものであり、教えられるものではない。だから「神教」ではなく「神道」となった。対して、仏教とはお釈迦様という実在した人間の教え。「人間はなぜ苦しむのだろう?」という疑問を解くために出家し、苦しい修行の末に悟りを開いたお釈迦様の教えを、弟子たちが伝えてきたもの。ですから、仏様は悟りを開いたお釈迦様の姿なのです。如来、菩薩、明王などそれぞれの姿で私たちの前に現れて救いの手を差し伸べてくれるのです。