お母ちゃんの解り易い戦略
連日の暑さに辟易しながらテレビ見ていたオヤジが、お母ちゃんに向かって、「うちの生活はどんなレベルだろう?」と聞いた。するとお母ちゃんは、「まあまあの上ぐらいかな!」と答えました。「上」を入れたのはたぶんリップサービスなのでしょうが、オヤジの聞きたかったのは、生き方も含めた生活のつもりでしたが、お母ちゃんは、「生活といえば経済的レベルのこと」をイメージして答えていたようです。オヤジは、「武士は食わねど高楊枝」みたいなところがあるので、生き方(姿勢)についてもう少し加点をもらいたかったらしいのですが、お母ちゃんは、「強いから勝つのではなく、勝ったものが強いのだ!」という哲学を持っているので、あくまでも結果を重視する現実派であるため、オヤジには少し厳し過ぎる判定だと感じたのでしょう。
ある著名な学者の言葉に「世の中には賢い人と運の良い人がいる。賢い人は手法を誇るが、運の良い人は結果を誇る」というのがありました。ボクには、オヤジが賢いのか運が良いのかわかりませんが、それは第三者が決めることで、自分が口にした途端、自画自賛になってしまうと考えているに違いありません。そうした考え方をするところが、相棒のボクにはしっくりきます。もちろんお母ちゃんも、現実主義者とはいえ、金ぴかの生活を理想としているわけではありませんから、今の生活にそれほど不満を持っているということではないのですが、やはり、おさまりかえった生活に満足するという、つまらない生き方は性分に合わないのでしょう。つまり、理想主義者も現実主義者も目指しているところは同じようなものなのですが、まだまだ道半ばというところでしょうか。
ところで、お母ちゃんに向かって、将来オヤジが倒れたら、面倒見ないのか?と尋ねてみたところ、「そんな不人情なことは、たまにしかしません!」といって笑っていました。そして、テレビで五目焼きそばを食べているところを見て、「わぁ 美味しそうねぇ!」とわかりやすいアピールをしていました。そしてそのあとのアクションが実に憎い。「お父さんなんか言いました?」とオヤジの部屋へわざとらしく聞きに行く。お母ちゃんの戦略は、まず、「わぁ 美味しそうねぇ!」と、オヤジの部屋まで聞こえるような大きな声でアピールしておき、ダメ押しに、「なんか言いました?」とくる。これほど解りやすいシグナルに気が付かないふりをしたのでは、しっぺ返しの嵐が怖い。そこでオヤジも、重い腰をあげざるを得ないというわけです。これで全面戦争が避けられるなら安いものです。