コミュニケーションの大切さ
最近は、身勝手な犯罪や理不尽すぎる凄惨な事件が相次いで起こっています。すべての事件の動機が明らかにされているわけではありませんが、犯行に走らせた直接の動機はともかく、その人の心の奥底には孤独感があったのではないかと思われてなりません。人は誰でも一人では生きられませんから、せめて身近な人ひとりでも、自分を理解してくれる人がいれば、自暴自棄にならず前向きになれるような気がします。
ある研究によると、犯罪者が裁判にかけられ、裁判官から判決を言い渡されたとき、その刑期が短い人は公平な判決だと思い、長い刑期を言い渡されると不公平だと感じるということです。本当は、自分の犯した罪の重さと比べて判断すべきものなのにです。しかし、長い刑期の場合でも、担当の弁護士と共に過ごした時間が長ければ、そうした不公平感はかなり緩和されるということが明らかになったそうです。
こうした自分本位の考え方は、日常生活の中にもたくさんあります。例えば、兄弟で一つのケーキを半分にカットして分け合うといった場合、お兄ちゃんが2つに切り分けると、弟がお兄ちゃんの方が大きいといい、弟が切れば、お兄ちゃんは弟の方が大きいという。こうした痴話げんかはどこの家庭でも日常茶飯事だと思いますが、ひともめした後には、誰が切っても公平には切り分けられないということが解ります。現代社会はここのところのプロセスが欠落しているのではないでしょうか。