三陸近海のうに
5月になると、三陸の海ではウニ漁が始まります。6月中旬から8月初旬までが最盛期のウニ漁は、海の海藻が青々と育つ時期と重なります。ウニは、これらの海藻を主食として大きく育つというわけです。三陸沖で水揚げされるウニのほとんどは「キタムラサキウニ」という種類で、北海道などで水揚げされる「バフンウニ」よりも身が黄色く上品な味が特徴です。
私たちが食べているのは、ウニの生殖巣部分で、これは魚卵と同じでビタミンをたっぷり含んだ栄養カプセルのようなものです。お肌の若さを保ち続けるとともに、目や内臓を守る粘膜を健康に維持してくれる、ビタミンAやビタミンB2が含まれています。その他にも、血液の流れを良くして高血圧や生活習慣病の予防にもなるEPA(エイコサペンタエン酸)や体内の脂質が酸化するのを防いでくれるビタミンEも含まれています。
また、身が柔らかく消化吸収もいいので、高齢者や病後の栄養補給にもぴったりな食べ物です。日本近海で獲れて食用になるのは、主にムラサキウニ系とバフンウニ系の4種類です。ウニは雑食で何でも食べますが、主食は海藻で特に昆布です。そして、食べているエサによって味が変わるという特徴があり、利尻や羅臼などの昆布の名産地は、そのままウニがおいしい産地となっています。産地と種類によって旬は異なり、宮城の石巻や女川で獲れるキタムラサキウニは、春から夏にかけてどんどん身入りがよくなってきます。