修復なった永田醸造
永田醸造は亘理伊達家の御用商人として江戸時代初期から、味噌、醤油、酒の醸造のほか、呉服業も営んできた老舗で、現在の当主で10代目にあたります。平成14年2月に永田醸造の建物3件が国の登録文化財になりましたが、これまで所有者による保護と改修が行われてきましたもので、社屋と主屋は明治20年代、稲荷鞘堂は大正建築されたものです。
蔵造りの店舗は土蔵造りで外観は江戸時代の造りを残した白漆喰と海鼠壁、観音開扉などが重厚な造りになっています。特に屋根の上に付けられた箱棟には、永田家の家紋である桔梗をかたどった風穴を設けるなど、亘理の町並みを代表する建造物の一つです。また、主屋は桁に欅材を用いているほか、壁や道具なども優れたものが多く見られます。
今回の東日本大震災では、太い梁で守られた店舗の枠組みは無事だったものの、箱棟や屋根は全て落下し、壁も剥がれ落ちて全壊と判定された。10代目の永田幸洋社長は「店舗は地域の財産。私の責任で元に戻す」と決意し、資金調達にかけ回り昨年7月に着工に漕ぎつけました。箱棟は京都、奈良で活動する宮大工8人に依頼し、匠の技で今年3月末に修復が終了しました。