メロードの一夜干し
三陸の海の一番漁はイサダである。漁業関係者の間では春漁と言われているようだが、解禁になるのは2月中旬以降でまだ寒い。3月を過ぎたころには、本格的に春を感じさせる「春告げ魚」と言われるメバルの出番となります。また、石巻地方では「いかなご」も春を告げる魚と呼ばれ、釣り人達はこのいかなごをメバル釣りの餌に使います。
いかなごは、2月から3月に獲れる体長10cm以下のものは子女子(こおなご)と呼び佃煮などに加工されます。煮詰められてできあがった姿が、錆びた古釘の形に似ていることから、「小女子の釘煮」と呼ぶこともあります。これが春本番の4月になると、体長が25cmくらいに成長して今度は「大女子(おおなご)」と呼ばれるようになります。
金華山周辺では、この地方独特のメロードの「すくい網漁」によって大量に捕獲されますが、子女子も大女子も釣りの餌や養殖の餌にされてしまうことが多いようです。しかし、メロードは内臓や血合いを丁寧に取って塩をふり、一夜干しにしたものをさっと炙って食べると得も言われぬ味になります。ただ、この魚は鮮度が落ちやすいのが玉に傷です。