イシノマキ・ファーム(石巻市北上町)
石巻市にあるイシノマキ・ファームは、2016年8月に設立された、多様な人々が対等な関係で仕事をするソーシャルファーム。地域を巻き込みながら、付近に点在する圃場でビールの原料であるホップや野菜の栽培を行っている。設立のきっかけは東日本大震災。代表理事を務める高橋由佳さんは、震災以前から障害福祉サービスを提供するNPO法人の代表として活動を続けてきた。その一環として仮設住宅の中で引きこもっていた人々と農作業をする機会があり、「土に触れると元気になる」ことを確信したという。
元気の源となる土には、関連施設であるI-HOP CAFÉのコーヒーかすや、鶏糞などを肥料として混ぜ込み使用。化学肥料は、使っていないとのことだった。圃場の一部では、一般人も収穫体験できる。長靴や刈り取り用の道具は貸してもらえるので、手ぶらで訪れることも可能だ。昨年の9月に取材に訪れた際には、近隣の農家から管理を委託された畑に案内してもらったという。パプリカやケール、ビーツにさつまいもなど、多種類の野菜が育っており、色鮮やかな野菜サラダができそうだった。
採れたての野菜を、限りなく新鮮なうちに食べたいと思ったら、イシノマキ・ファームが運営するゲストハウス「VilLage AOYA」に宿泊してみては。築120年の古民家をリノベーションしており、アットホームな雰囲気が満ちている。自分で収穫した野菜を、シェアキッチンで調理して夕食に。事前に伝えれば、米や魚などの食材も準備してもらえる。イシノマキ・ファームのクラフトビール「巻風エール」とともに、古民家でのどかな晩餐を愉しみたい。周囲の自然を満喫しながら、有意義な一日を過ごすことができるだろう。