松本珈琲店まつりか(青葉区立町)
仙台市西公園と通りを挟んだ向かい側にアーチ形の窓を持つまつりかがある。木の床は黒光りし、角が丸みを帯びた天井から壁の漆喰は年月がたってやわらかい飴色になっている。テーブルは35年前に特注したものでガラス天板の下には豆が。数種類の生豆や焙煎した豆が組み合わせてある。モダンなノスタルジーを感じる店内だ。マスターの松本章さんは二代目で父の信之さんから2015年に店を引き継いだ。
それまでは、東京の有名フランス料理店やホテルで支配人、シェフソムリエとして活躍。猛勉強のもと最年少でシニアソムリエの資格を取得するなど凝り性で努力家でもある。まつりかを継ぐときもブラジルに行って修行、ブラジル認定珈琲鑑定士となった。「最高グレードの生豆を入手するのが第一。そして、はじける音、煙の色、香りを五感で受けつつ焙煎して、味を作り出すというより完成の味を迎えに行くという感じですね」。何万回と焙煎を繰り返すうちに、同じ品種でも違う持ち味が出てくる。
豆は生きていると感じ、それをお客様の好みに合った味として淹れるように毎日励んでいる。店のメニューはコーヒーのみ。数種のブレンドをはじめクリスタルマウンテン、モカマタリアルマッカ、ゴールドトップマンデリンのストレートが並ぶ。見逃せないのが毎月のプレミアムコーヒー。松本さんが世界中から探し出して仕入れる希少豆で、二度とない出会いとなるかもしれないコーヒーだ。いつものコーヒーを、また珍しいコーヒーの一杯を、じっくり味わいながら過ごしたい店である。