奥が深い名前の由来
以前にもお話したことがあると思うのですが、ボクの名前を「むさし」と命名したのはお母ちゃんです。その意味をお母ちゃんに聞いてみたところ、両足を起用に使いおもちゃのぬいぐるみを操っていたのを見て、両刀使いの代名詞である「宮本武蔵」を思いついたのだそうです。そこで、「器用」で「強そう」で、しかも呼びやすい「むさし」としたそうです。しかし、ブログに名前を書くとき解りやすくするため、通称は片仮名の「ムサシ」で通すことにしたということでした。日本におけるワンちゃんの和風名のランキングでは、「空(ソラ)」「小太郎(コタロウ)「福(フク)」「茶々丸(チャチャマル)」「琥太郎(コタロウ)」「小鉄(コテツ)」「海(ウミ)」「風太(フウタ)」「大和(ヤマト)」「琥珀(コハク)」がベスト10となっているそうですが、いずれも、きれい、強い、幸せ、呼びやすいなどを考慮して名付けているように思われます。「ムサシ」という名前がこの中に入っていないのが、ちょっと寂しい気もしますが、よく考えて見ると名前である以上、自分固有のものであるというのが大事な要素なわけですから、逆に喜ぶべきことだと思っています。
第一、大勢のなかまの前で、「ムサシ」と呼ばれたとき、みんなが「ワン(はい)」と返事をするのでは平凡すぎるということになりかねませんから、これで正解だったのではないでしょうか。それに、今では"ムサシ"と呼ばれることに全く違和感はなく、むしろ誇らしくさえ思っています。一見ずぼらのように見えるお母ちゃんですが、中々思慮深いところがあり、単なる思い付きではなかったことに気づかされました。それがまた、最近は円熟味も増しているようで、コロナ禍の暗い世の中でも、わが家ではユーモアが飛び交い笑いの渦が絶えることはありません。つい先日もオヤジとのメールでこんなやりとりがありました。その顛末はこうです。お母ちゃんから、「雨が降ってきたので、干しているバスタオル2枚を取り込んでおいてください!」というメールが入りました。オヤジはその前に洗濯物を取り込んでいましたが、メールで、「取り込むのに2時間ほどかかりました」と返信しました。するとお母ちゃん。「運動不足を解消するのにちょうどよかったですね!」という切り返しのメールが届きましたが、労いの言葉はありませんでした。
以前のお母ちゃんだと、「そんな2時間もかかるはずはないでしょう!」という、味もそっけもない返事が返ってきたりしたものですが、オヤジのギャグをあっさりと切り返したところは実に見事でした。そういえば、お母ちゃんはこの頃ギャグにはまっているようで、テレビを見ていて、コメンテーターがちょっと奇麗ごとでも言おうものなら、「お前がやってみろ」とか「何を考えているのだ あんたは」などと大声でヤジっています。それを見ているオヤジは、「画面の向こうで誰かが聞いていたらどうする? もう少し優しくいったら!」と、ハラハラしながらたしなめている始末です。でもこうした風景はどこの家庭でも見られるのではないでしょうか。それにこれぐらいのことで、ストレス解消になり元気を取り戻してもらえるなら、安いものだと心の中でにんまり笑っているかもしれません。好きな旅行にも行けない。たまに行ったとしても息を殺してお風呂に入り、食べる時以外は口を開けずに食卓を囲み、静かに眠り、静かに帰宅の途につく。これでは、かえってストレスをため込んでしまう。その腹いせがテレビとのバトルなのでしょうか。