ジャンヌダルク・フィスエペール(若林区木下)
ジャンヌダルクとは、英仏百年戦争末期にフランス軍を勝利に導いた少女。彼女の名前を店名に冠したのは「旗を掲げてパンの世界を進む」という志を表明するためだという。フィスエペールは、フランス語の息子(フィス)と父親(ペール)。その言葉どおり、父と息子、そしてこの春には若い職人を加えて、パンの世界を盛り上げている。店頭に並ぶのは、フランスパンやドイツパン、日本のアンパンやクリームパン、調理パン、食事系のパンなど幅広いジャンル、どれも、その本質をしっかり見極めて作っている。美味しさと身体への優しさに配慮して、小麦粉は国産を使用。北海道産が8割、福岡産が2割だ。
酵母は、ホシノ天然酵母やサワー種、日本の生イースト、外国産のドライイーストなど、パンに合わせて使い分けている。店に入ってすぐ目につくところにあるのは、季節の果物を使った色彩豊かなデニッシュや、見ているだけで香ばしさが伝わってくるクロワッサンなど。「旬のものを使い、季節感を大事にして、ワクワクしてもらえるようなパンを開発しています」と話すのは製造チーフの江刺拓磨さん。最近は、米粉を取り入れたパンに力を入れているそうだ。その中の一つとして紹介してくれたのが「よもぎあんバター」。宮城県産ひとめぼれを、荒井の農業園芸センターで米粉にしている。
できる限り新鮮な米粉を使うのもこだわりだ。米粉と小麦粉割合を2対8にして、やわらかくふわふわに。発酵を湯種にすることで、よりしっとりもっちりとなる。蔵王産のよもぎも、宮城のあじわいを醸し出す。しっかりとした歯ごたえのあるハード系のパンも充実。「いちじくの赤ワイン煮バトン」は、いちじくを赤ワインとシナモンで煮込み、クリームチーズを添えてお洒落な味わいに仕上げている。焼き込み調理パンも手の込んだ味わいだ。「空豆とローストチキンのクロックムッシュ」は、チーズと自家製のベシャメルソースが味わいに深みをもたらす。職人たちの感性と技術が織りなす、色彩豊かなパンの世界を堪能したい。