コロナ禍の世界
地球全体にまん延している新型コロナに対して、世界の国々はどのように対処しているのでしょうか? オリンピック東京大会を目前に控えている日本としても、現在どのような状況下に置かれているのか、そして、今後どのように対処するのがベターなのかを俯瞰してみることはできないものかと毎日考えています。こんなに感染者が増加しているのに、いまだ抜本的な解決策を見いだせず、右往左往しているような気がしてなりません。待望のワクチンが完成し、日本でもようやく接種が始まりましたが、かなり出遅れている感じがします。そこで、世界の「今」をデータでとらえてみたいと思い、オヤジと一緒に解析をして見ることにしました。用いたデータは日経新聞が収集した世界189ヵ国の「100人当たりワクチン接種回数」と「感染者の7日移動平均」、それに「死者数の7日移動平均」です。
用いた分析方法は、主成分分析(多変量解析)です。始めはもっと多くのデータを含めて分析したのですが、思ったような結果が得られなかったので、結果的に最もシンプルで、各国の特徴がはっきり認識できる上記3つのデータを用いることにしました。その結果は以下のようなものです。
(1)「100人当たり接種回数」が多く「感染者数の7日移動平均」は少ない国・地域(57)
(2) 「100人当たり接種回数」が少なく「感染者数の7日移動平均」も少ない国・地域(109)
(3) 「100人当たり接種回数」が多く「感染者数の7日移動平均」も多い国・地域(10)
(4) 「100人当たり接種回数」が少なく「感染者数の7日移動平均」は多い国・地域(13)
(1)の代表格は、セーシェル、サンマリノ、UAE、パラオ、イスラエルなど57ヵ国です。なお、その中でも、これらの5ヵ国は、100人当たり接種回数が100回を超えている国々です。つまり、ワクチン接種が非常に進んでいる国々と言ことで、羨ましい限りです。(2)の代表格は、エルサルバドル、トンガ、マカオ、ガイアナ、カンボジアなどで、109ヵ国が含まれ、最も多くなっています。しかし、これらのグループは、今後の感染状況には目が離せないように思います。(3)の代表格は、アメリカ、カナダ、ドイツ、スペイン、イタリアで、10ヵ国が含まれますが、その中でもアメリカは突出しています。(4)の代表格は 日本、ルアンダ、フィリピン、イラン、ウクライナなどで、13ヵ国が含まれます。
ご覧のような状況が世界の今です。日本は、「100人当たり接種回数」が少なく「感染者数の7日移動平均」は多い国・地域に属する13ヵ国の中では、100人当たりの接種回数は一番多いのですが、今後ワクチン接種が急ピッチで進み、感染者数を抑えられれば、このグループから脱出できる可能性が高いといえるでしょう。しかし、これらのグループはズバリ言うと、油断していたと言えそうです。(1)グループのセシールは「100人当たりの接種回数」が134.7回、「感染者数の7日移動平均」は227人です。それに引き換え、日本は「100人当たり接種回数」は6.3人、「感染者数の7日移動平均」は5,578人です。累計感染者数が少ないとはいうものの、現在の進行状況からすると危うさを感ぜざるを得ません。もちろん、日本が良ければ他の国はどうでもいいなどと思っているわけではないですが、第三コーナーを回ってホームストレッチにさしかかった現在、もうのんびりしている時間はありません。どうかギアを3段階ぐらい一気に上げて、日本の本気度を世界に示すべき時が来ているのではないでしょうか。ウイルスをまき散らさない努力と、ワクチン接種をセットに考え、一日も早く平穏な日常を取り戻したいものです。