山元町「いちごが縁を育む坂本」
山元町は、いちご、りんご、ぶどうなどの果物、ホッキ貝などの魚介類が豊かに産出される地。とくにいちごは亘理町と合わせて東北の最大の産地となっている。東日本大震災前までは海岸に近い平地での土耗栽培が盛んだったが、津波で壊滅。その後、大きなハウスを連ねた建物で高設養液栽培に切り替えいちご団地として復活、震災前の生産量を超えて伸びている。いちごをはじめ山元町の特産品を販売しているのが、やまもと夢いちごの郷。常磐線坂本駅と国道6号線に隣接する便利な場所にある。店内に入ってまず求めたいのはやはりいちご。
宮城県オリジナル品種のもういっこの他、とちおとめ、にこにこベリーなどが勢揃い。完熟で出荷されるので美味しさは抜群だ。いちごの加工品も豊富。ジュース、ジャム、ワイン、菓子など、色がきれいでギフトにも喜ばれそうだ。水産物コーナーは磯浜漁港に揚る大ぶりのホッキ貝をはじめ季節によりカレイなどが並ぶ。今年1月からはフードコートも併設。3店舗(そば処蕃山 山本店、ネギ・イタリ家、ラーメンせん家 山本店)が入り、地元の魚介類や野菜を使ったメニューが食欲を誘う。
運営会社の㈱やまもと地域振興公社の社長であり山本町長でもある齋藤俊夫さんは、震災後の苦労が報いられたと話す。「いちごを大切に、町民のなりわい再建に励んできました。農業法人の観光いちご農園には年間10万人がおとずれています。現場の生産者、産直運営スタッフの頑張りが実を結んだと思います。これからも利用者本位の店づくりで皆さんをお迎えしたいですね」。周辺には、海近くに震災遺構となった中浜小学校、また観光いちご農園が複数ある。記憶と希望を訪ねる道を辿ってみたい。