亘理町「海と山の眺望に憩う荒浜」
阿武隈川河口の隣に水深の浅い汽水湖を擁する亘理町。鳥の海にある荒浜漁港にはカレイなどの魚介類が揚がり、釣ポイントとしても人気がある。沿岸部は東日本大震災の津波で壊滅的な被害があったが、その後漁港が再開、周辺には産地直売所や飲食商業施設などが建ち、復興の歩みが続いている。鳥の海と太平洋が接する場所にある、わたり温泉鳥の海。建物は残ったものの、下の階は津波で使用できない状態に。しかし、修繕を重ね全面再開にこぎつけた。何といっても、5階の大浴場と続く露天風呂から眺める海の景色が素晴らしい。
太平洋を一望し、北東側は牡鹿半島や金華山、南側は福島の松川浦付近まで見渡せる。眺望とともに、亘理町唯一の天然温泉でとろりとした美人の湯に浸かれば心身が解放されていく。客室も眺めがいい。太平洋ビューと蔵王連峰ビュー、広さはカップル向けや家族向けがある。蔵王連峰ビューの部屋からは、鳥の海の向こうに亘理のまち並み、低めの里山、そして蔵王の雄大な姿が重なる絵画的風景が望める。蔵王に残雪がある時期が見逃せない。食事は4階のレストランで。宮城県の新鮮な魚介類を使った海鮮料理が自慢。
郷土料理のほっき飯、はらこ飯などは旬の季節にぜひ味わいたいメニューだ。支配人の半田英明さんは「温泉は人気があって多くのお客様が利用されています。宮城県南沿岸部の観光交流拠点になって、さらに人々の交流が広がるように努力していきたいですね」と将来を描く。亘理町は宮城県内一位のいちご産地でもあり、津波による壊滅状態から、国の支援施策や地元農家の努力によって復活した。宿の周辺にはいちご狩りができる農園も散在しているので、里の恵みもあじわいたいもの。鳥の海から始まる亘理の旅を楽しんでみよう。