おにぎり」にだって個性がある
みなさんは、おにぎりの気持ちを考えたことがありますか? うちのオヤジはときどき突拍子のないことをして笑いを取ろうとします。今朝も、お母ちゃんがそろそろ出かけようという時間に、面白いこと(本人はそう思っている)を思いつきました。それは、何気なくキッチンで水を飲もうとして、水道の蛇口をひねったときでした。水を飲み終えて、顔をあげると、おにぎりが2つ並んでいるのが目に入りました。たぶん、1つは自分の昼食用で、もう1つはお母ちゃんの昼食だと思いました。お母ちゃんがおにぎりを持っていくのは結構珍しいことなので、「今日は2人ともおにぎりか!」と思いながら、よく見るとラップに包まれた2つのおにぎりは、大きさがかなり違うことに気がつきました。しかも、大きい方は皿に乗っているが、もう1つはリビングとの間仕切りの上にただ置いてあるだけです。オヤジは皿に乗っている大きい方が自分用のものであることはすぐに解りました。そこで、オヤジはちょっとした「どっきり(いたずら)を仕掛けることを思いつきました。
そのいたずらというのは単純なもので、2つのおにぎりを入れ替えたのです。それはどういう意味かというと、お母ちゃんのことだから、おにぎりをバッグにしまうとき、よく確認をせず無造作におにぎりを掴むだろうと考えたわけです。しかし、大きさや形が微妙に違うことに気がつき、どうしてこんなことになったのかと、いぶかる様子が見たいと思ったわけです。あまりいい趣味ではないとボクは思ったのですが、オヤジにしてみれば、最近少し疲れ気味のお母ちゃんに「活」を入れようとしたのかもしれません。ところが、当お母ちゃんは今日に限ってなかなか出かけようとしなかったので、このままだと、この仕掛けに気づかないまま、大きいおにぎりを持って行ってしまうのではないかと心配になり、思案のあげく、大きい方のおにぎりを手にかざし、お母ちゃんに向かって、これ今日持っていくの? と直接ぶつけてみました。しかし、お母ちゃんは、オヤジがそんな小細工をしていたことにはまったく気づかず、それ(大きい方のおにぎり)を私のバッグに入れておいてくださいというばかりです。
たまりかねたオヤジは、仕方なく、もう1つのおにぎりも持ってきて、本当にこのおにぎりをバッグ入れていいの? と聞きました。するとお母ちゃんもさすがに自分が持ってくつもりのおにぎりとは違うことに気がついたものの、オヤジが仕掛けたいたずらであることには、最後まで気がつきませんでした。オヤジは、自分の仕掛けたいたずらが、まったく機能しなかったことに痛く傷つきました。だから、そんな小細工はやめた方がいいとボクは思ったのですが、お母ちゃんを元気づけようというオヤジの思いもわかるだけに、敢えて止めなかったわけですが、今日は惨敗でした。でも、お母ちゃんは元々こうした遊びは大好きで、テレビで「どっきり」を見ているときなどは、お腹を抱えて笑っています。ですから、今日は結果的には失敗でしたが、着想としては悪くなかったと思うのです。ともあれ、今のオヤジにそんな慰めは、火に油を注ぐようものです。ましてや、「誰のエネルギーになるか覚悟を決めているおにぎりの身にもなってみろ!」などとは言えません。とりあえずは、そっとしておくよりほか仕方ないようです。オヤジのことですから、そのうち、必ず面白いネタを探してリベンジすることでしょう。