しゃきしゃき湯通し塩蔵わかめ
わかめを養殖・塩蔵加工しているのは漁業生産組合「浜人(はまんど)」のみなさん。「浜の味を食卓へ」をモットーに、震災後5家族で協力し合いながら生産しています。十三浜は震災で甚大な被害を受けました。ベテランの漁師たちが再起をあきらめかけたとき、立ち上がったのは若いフィッシャーマンたち。「震災を機に、日本の漁業を変えるなら今だと。それまでくすぶっていた「従来の漁師スタイル」に対するもどかしさが爆発しました」と生産者の阿部勝太郎さんは話します。「今、漁業は後継者問題で危機的状況にあります。漁師は50代、60代が多く、20代、30代はほとんどいません。たくさんある職業の中から「漁師」を選んでもらえるように変革が必要でした」。
阿部さんは、若手漁師を集めフィッシャーマン・ジャパンを設立。自ら営業もすることで、販売者と生産者が直接つながるようなシステムを造りました。「いろいろな業者が間に入ってくると、私たちが伝えたい思いや情報は埋もれてしまいます。一方、消費者に近いところで生産し、販売者の声を聞けることは、やりがいに繋がります。生産者と販売者がつながることはそれだけ価値があること。ですから、われわれの作る商品はもっと広まってほしいと願っています。十三浜には、良いわかめをつくる要素が揃っています。透明度の高い海水は光合成を促し、荒々しい波はわかめをより肉厚にします。また、北上川河口から流れ込んだ山の豊富な養分も、わかめを風味豊かに育ててくれます。阿部さんはわかめの収穫について「時期によってわかめの硬さが変わってきます」と話す。
「塩蔵わかめに使っているのは、ほどよく肉厚に育った3月から4月上旬にかけて収穫したものです。それ以降ですと硬くなりすぎてしまいます。お客様に安心してリピートしてもらえるよう、できるだけ同じ食感のものを使っています」とも。塩蔵加工する際、加塩すると水も一緒に吸わせなければなりません。それではせっかくの磯の香りも、しゃきっとした歯ごたえもなくなってしまいます」と阿部さん。風味を落とさないために、加塩することなく、わかめ本来の塩分で加工されているため、家庭で普段使う量であれば、塩抜きは1分で済みます。また、加熱しても食感が変わりにくいため、みそ汁の具はもちろん蕎麦やうどんのトッピングにもおおすめ。磯の香りが食欲をかきたててくれる「しゃきしゃき湯通し塩蔵わかめ」は、食卓を豊かに彩ってくれることでしょう。