奥州街道 うーめん番所
白石名物としておなじみの温麺(うーめん)。小麦粉と塩水だけのあっさりとした味わいながら栄養価は高く、短めで食べやすいのが特徴。温かいのはもちろんだが、暑さで食欲がないときなど、冷たく調理してつるっといただくのにぴったりだ。温麺の発祥には物語がある。約400年前、元禄時代の城石城下。胃病の父親のために、孝行息子が旅の僧からの助言を基に、油の代わりに葛粉を使った消化の良い麺を作ったところ、父の病気が治った。噂を聞いた殿様に望まれて献上すると、たいそう気に入られ、思いやりに満ちた温もりのある麺ということで「温麺」の名を賜った。
ところが、読み方を忘れてしまったため、殿様はうまいうまいと言っていたから「うーめん」だ。...と、名の由来がユーモラスに伝わっている。創業147年の「マツダ麺業」は元は武士の家系だったが、明治に入って製麺業を始めた。4代目を継ぐ社長の松田謙一さんは、平成7年(1995年)に直営の食事処「うーめん番所」を開いた。「白石城の復元と同じ年でした。歴史ある温麺が城ととも観光をの盛り上げ役になるようにとの思いでしたね」と当時を振り返る。雰囲気のある店構えや豊富なメニューも人気で、JRと県の大型観光キャンペーンでは女優の吉永小百合さん出演のCMに登場したことでも知られている。
実はここで出す麺は、一般の温麺より少し長め。理由を聞くと「殿様に献上した麺は敬意をこめて長めにしたという文献があったんです。そんな歴史も話として楽しんでもらおうと思って」と話す。アイデアマンの松田さんはほかに、「葛粉」「柿の葉」「ブルーベリー」など、さまざまな食材を練り込んだ「ヘルシー麺」を十数種も生み出してきた。この季節のお薦めは、具沢山の「冷やし五目うーめん」や、ヘルシー麺の中でも人気のニンジン」「梅しそ」「モロヘイヤ」の彩りも美しい3種の麺の盛り合わせた「うーめん三昧」。歴史情緒豊かな町歩きとともに楽しみたい。