ひいきの引き倒し
マイナンバー制度は、国民一人ひとりに固有の番号をつけ、いざというとき迅速かつ適切にサービスを提供するというありがたい制度のようです。しかし、どんなにメリットのあるシステムでも、かならずデメリットを覚悟しなければならない。その最たるものが「マイナンバー」なるものの管理です。通常私たちは大事なものを管理しようとする場合、金庫を購入して大事なものをこの中に保管します。そのとき重要なのがカギの管理です。
金庫の中身が重要であればあるほど、金庫の構造を何重にも厳重にするので、そのカギの数も増やさざるを得なくなります。この時、カギを分散させて管理しようと思えば、肝心の時にカギの保管場所を忘れてしまうという危険性があります。一括して管理したり、自分で持ち歩いたりすれば、盗難や紛失の心配にさらされます。信頼できる人に預かってもらうという手もあるでしょうか、これもやはり心配の種になる可能性を否定できません。
思案の挙句、カギを保管する金庫を用意する羽目になっては、この連鎖は「モグラ叩き」の比ではない気がします。カギの保管場所を紙に書いておくという手も考えられますが、今度はその紙をどう管理するかという問題が残ります。このように考えると、最もクオリティの高いサービスを提供しようとしている国の親心が、かえって庶民を心理的に追い詰めてしまう虞はないのでしょうか。この問いかけにはさすがのムサシも唸りっぱなしです。