仙台地物屋 炉だん
温もりに満ちた空間で、旬の素材をふんだんに使った料理が楽しめる「仙台地物屋 炉だん」。料理長を務める亀掛川武司さんは、この店の料理へのこだわりとして「身士不二」「地産地消」というキーワードを上げてくれた。「身士不二」「地産地消」とは、その土地で、この季節にとれたてのものを食べるのが健康によいという考え方です。食材王国といわれる宮城県には、牡蠣やホヤをはじめ伊豆沼のレンコンや亘理の柚子など、魅力的な食材がたくさんあります。
そんな地元の食材を柱に、おいしくて体に優しい宮城・東北の郷土の味をご提供したいと考えています」。そう語る亀掛川さんが「心も体も温まっていただきたい」との思いを込めて作ったのが、「宮城の地物 酒粕コース」だ。小鉢に始まり、お造り、鍋料理、焼き物、揚げ物、肉料理、酢の物、うどんと続くコースでは、ほとんどの料理に宮城・東北の酒蔵の酒粕が使われている。注目したいのは、鍋料理の「近海魚のあざら仕立て」だ。「あざら」は、白菜の古漬け魚のアラを味噌と酒粕を合わせた汁で煮込む気仙沼地方の郷土料理。
「本来は濃厚な味わいが身上の粕汁ですが、県外の方や初めて食べる方にもおいしく召し上がっていただけるよう、白菜は浅漬け、魚の身の部分だけを使ってあっさりと仕上げました」と亀掛川さん。気仙沼出身で、長年「あざら」に親しんできた亀掛川さんならではの心配りだ。「酒粕はコクを出し、風味を豊かにするだけでなく、健康効果も期待できる魅力的な素材です。一年を通して様々な料理に使っていきたいですね」。旬を大切にする「炉だん」では、メニューがどんどん変わってゆく。その季節、その時期だけの一期一会を堪能したい。