峩々温泉
蔵王国定公園の標高850mに位置する峩々温泉は、明治時代から湯治湯として人々に親しまれてきた。蔵王エコーラインから道をそれて深い谷に下りていくと、屋根の重なりが印象的な峩々温泉に着く。玄関に入ると広々とした談話室だ。木の床に様々なタイプの椅子とテーブルが置かれ、畳スペースも。冬は大きな薪ストーブに火が入り、暖かだ。揺らめく炎は見ていて飽きない。
気に入ったコーナーを見つけたら、ゆったりと流れる時間を過ごせそうだ。浴室は内湯の大浴場と続く露天風呂、混浴露天風呂(冬季閉鎖)、貸切露天風呂がある。内湯では昔からの習慣であるかけ湯を試してみよう。熱い湯の浴槽のそばに横になり、手桶で湯をすくい胃腸の部分に何度もかけていると、じんわり温まってくる。露天風呂は目の前で流れる濁流と対岸のごつごつした岩肌を眺めながら、体を伸ばしてゆっくり浸りたい。
食事は蔵王高原野菜や三陸の海からの魚介類などを使って工夫を凝らした季節感豊かな料理を提供している。冬はふろふき大根が美味。また系列のレストラン・ベルツで手作りしているハムやソーセージも国際コンクールで受賞した折り紙つきだ。若女将の竹内美咲さんは、忙しく回る「観光旅行」から少し視点を変えて、療養や休養でリフレッシュする「滞在」もいいのでは、と提案する。宿の周りにあるのは自然の恵み。温泉三昧の日々を過ごして心身の健康を取り戻しに行きたい宿である。