川渡温泉 山ふところの宿みやま
鳴子温泉の中でも最も古く、千年前の開湯と伝わる川渡温泉。国道から道をそれて少し行くと、田園風景の中に宿みやまが現れる。茅葺屋根の母屋、湯治用の本館、金山杉をふんだんに使ったモダンな別館が並んでする。別館のラウンジは木のぬくもりと吹き抜けの空間が心地よく、音楽を聞いたり本を読んだり、気ままな時間を過ごせる憩いの場だ。浴室は金山杉の壁、玄昌石の浴槽という設え。
かけ流しされている湯は弱アルカリ性単純泉で少し茶色味がかっている。ぬるめの湯なので長湯ができるのがいいところ。じっくり浸ると体の芯から温まってくる。別館の部屋は広縁付きの和室。穏やかな雰囲気に気持ちが和む。そして当時を楽しめる本館。共同水事場ではなく、部屋の広縁部分にキッチンが供えてあるので、自分の好きな時に使えるのが魅力だ。自炊で長逗留もできるし、食事付きプランもある。
食事は自家栽培の米や野菜を使って丁寧に作った家庭料理。里山の滋味にあふれている。館主の板垣幸寿さんが勧めるのは「素ローカル」な過ごし方。スローとローカルをかけた言葉で、ありのままの鳴子を味わってほしいとの思いだ。風の道と名づけた風景を楽しむウォーキングや、泉質の種類が豊富な鳴子の湯巡りなど、楽しみ方はいろいろ。冬なら宿にこもってゆっく過ごすもよし、季節がいい時には宿を基地に鳴子探索もよし。ゆっくりと心身をほぐしに出かけたい宿である。