金蛇水神社
金蛇水神社の場所は、七堤と呼ばれる沼がある谷の出口にある。水は命の源であり、谷の出口は古来水神を祭る聖地だった。創建年代は不詳だが、宗近伝説が残っている。989年、京から名水を求めて諸国を旅し、この地を訪れたのが小鍛冶宗近。天皇の佩刀(儀式用の刀)を鍛える水をついに見つけたのである。ところがカエルがうるさく鳴くため、雌雄一対の金蛇を作って水中に入れたところ静かになった。
そして心穏やかに宝刀を完成することができた。以来、金蛇がご神体となり、金蛇水神社の名称になったという。主祭神は、水速女命(みずはやめのみこと)、大己貴命(おおなむちのみとこ:大國主命)、少彦名命(すくなひこのみこと)を祭る。境内社として金蛇弁財天があり、等身大の八臂弁財天(はっぴべんざいてん)が祀られている。8つの手を持ち、頭に白蛇を頂く姿は、禍を封じて人々を守護する意味を表している。
古くから庶民信仰の対象として商売繁盛、金運円満、厄除開運の神社として親しまれてきた。近年、蛇文石が多く奉納され、これも金運を呼ぶとひそかに人気とか。白い鳥居をくぐると、推定樹齢300年という見事な藤。1株から9本の枝が分かれ「九竜の藤」と呼ばれる。藤棚の下を通って境内へ。拝殿は、正面三間向拝付き、入母屋の木造平屋建てである。赤い屋根が背後の深い森に映え、明るいながら神聖な雰囲気だ。5月には、藤の花と、牡丹園の100種以上の牡丹の花が雅やかに咲き誇る。一度はこの季節に訪れてみたい。