白石市周辺の温泉
《鎌先温泉》
「奥羽の薬湯」「傷の鎌先」として知られる鎌先温泉は、個性豊かな老舗旅館が立ち並ぶ風情ある温泉地。伊達の殿様も訪れたとされ、幕末のころには、大いに賑わったといわれている。開湯は、今から約600年前。地元の農夫が山で木を伐っているとき、喉が乾いたので谷間に降りていった。鎌の先で岩角を突いたところ、温泉が湧き出したとのこと。温泉地の近くには、こけしで知られる弥治郎地区がある。弥治郎こけしは、この温泉地とともに発展した。弥治郎で作ったこけしを、鎌先温泉の部屋を回って売ることを「鎌先商い」といったらしい。
《小原温泉》
風光明媚な湯の里として人々を魅了してきた小原温泉。白石川上流の清らかな景観は、心身をリラックスさせてくれる。小原温泉の正確な発見年は不詳だが、言い伝えが残っている。その昔、源義経の家臣、常陸坊海尊が亡命放浪して、白石に寄寓。武芸指南をしていた際、小原の山中で温泉が湧いているのを発見したという。自ら毎朝入浴したところ、効能が顕著だったために、村民にも勧めた。特に眼病に効いたとされ、今でも「目の小原」として知られている。近くのスバッシュランドパークでは、4月下旬から5月上旬にかけてシバザクラが満開となるので、ぜひ立ち寄ってみたい。
《白石湯沢温泉》
宿場町の面影が残る下戸沢を過ぎ、山の方に向かって登ると川のせせらぎや風の揺れる葉音、鳥のさえずりを聞きながら温泉宿に辿り着く。この温泉の由来は、今から約1200年前まで遡る。一人の僧が、下戸沢の湯元にあった宿を訪れた折の話が残っており、それが弘法大師ではないかと言い伝えられている。温泉は40℃とぬるめだが、泉質は幅広い効能を持ち、日本でも数少ないとされる含石膏芒硝泉。飲用にも適している。周辺には、材木岩や飛不動尊、万蔵稲荷神社などがあり、観光も楽しめる。