竹駒神社
842年、百人一首に歌が採られたことでも知られる参議・小野篁(たかむら)が陸奥国司として赴任した際、伏見稲荷よりの分霊を小箱に入れて下向した。名取郡に入り橋にさしかかった時、狐が8回鳴くのが聞こえ、怪しんで箱を開けたところ、神霊が白狐となって走り出し武隈の林で消えたという。白狐が消えた一画を神域とし、神社を創建したと伝わる。祭神は稲荷大伸で、倉稲魂神(うかのみたまのかみ)、保食神(うけもちのかみ)、椎産霊神(わくむすびのかみ)を祭る。人々の衣食住を守護する神として崇敬されてきた。朱色の大鳥居をくぐると、桜門(髄身門)が見えてくる。1812年に建立された江戸後期の秀作だ。
門の左右にある髄身像は衣冠束帯に剣と弓を持った武官像である。次に現れるのは、重厚な曲線の屋根を持つ向唐門。1832年に建立された。総けやき造りで各所に精緻な彫刻が施されている。そして、拝殿、幣殿、三間社流造りの本殿は1796年の建立だが1990年に火災で焼失、3年後に再建された。竹駒神社には小さな境内が7社もある。大國主神を祭る出雲神社、迦具土神を祭る愛宕神社、菅原道真公を祭神とする北野神社など、そして拝殿地下を通って行く奥宮。様々な神様が集まり、多くの人々を守護しているのだ。
もう一つ見逃せないのが、馬事博物館。竹駒神社では、古くから、境内で初午大祭に引き続き100日間馬市が開かれていた。藩政時代には50日になったが、賑わいは変わらず、明治時代には軍馬購買地に指定され、明治天皇の天覧にも浴した。博物館は1939年に開館、躯体が洋風で屋根が和風という珍しい様式の建物だ。伊達政宗公騎馬像をはじめ、明治天皇使用の乗馬手袋、嫁入り鞍など馬にまつわる資料が展示されている。開館は、正月三が日と初午大祭期間の土日のみ。機会があれば、訪れてみたい。