しぶき亭 東口本店(宮城野区名掛丁)
「しぶき亭は42年前、両親が苦竹で開いた定食屋から始まりました」。高台丼に気前よく盛り付けられたかつ丼に驚くと、「父のときはもっと多かったかも」と代表の新後さん。20年ほど前、大盛りとろふわのかつ丼が地元テレビで紹介されると、かつ丼に注文が集中。「こんなに人気ならかつ丼屋に」と、これまた気前よく切り替えた。
2009年、体調を崩した先代の味を、和食を学んでいた新後さんが引き継ぎ14年になる。豚のおいしさを伝えるならと、すすめられた「ぜいたくかつ丼」。黄金の卵と衣まとった宮城県高清水のブランド豚「32度C豚」は脂が人肌の温度で解けることが特徴だ。あつあつのご飯と一緒に豪快に頬張れば、ジューシーな肉の旨味が口いっぱいに広がる。
甘辛のタレが主張しすぎず、素材の味をうまくまとめてくれて、食べた後にやさしい余韻が残る。先代から続く「しぶき亭 苦竹本店」は新後さんの兄夫婦が担当。2022年からは新後さんの奥様が「しぶきのサンド亭」を荒町にオープンした。「安くお腹いっぱい」を貫いてきた店の味を、これからも家族でつないでいく。