井上(青葉区立町)
定禅寺通りを挟んで、せんだいメディアテークの向かいにあるビルの3階に店を構える「井上」。平日の午後1時半すぎ、カウンター席にも小上がりの座敷にもお客さんがいて、くつろいだ様子で食事をとっている。奥の厨房からは料理をつくる音や、食器を洗う音が和やかな会話とともに聞こえ、白いカバーの清潔な座布団に座ると、大家族の家の茶の間にいるような気分になってくる。
店内を見回すと、墨で書かれた貼り紙があり、一枚には使用している米の説明が、もう一枚には「血糖値スパイクを上げないための食事の順序」が書かれていて、健康を気遣う思いが伝わってくる。店主の井上敬子さんはまさに気遣いの人だった。「おいしいごはん、そして旬の野菜をとにかく食べて欲しいと思って」と話す。米は出身の山形・天童から取り寄せる「はえぬき」で。一番栄養のある胚芽を半分残した五分づき。米ぬかから作られた米油を入れて炊き上げる。
「米のうまさが増すからです」と井上さん。ビタミンEが多く含まれているのだそうだ。炊きあがったごはんは、見た目も食感も白米とほぼ変わらない。ランチは魚と肉の2種類が用意され、本日は「銀ヒラテ(白身魚)焼き」とオムレツ。オムレツは中にオクラが、また焼き魚の上には酢漬けミョウガと大根の千切りといった野菜がほどよくプラスされている。小鉢は酸味とビリ辛味があり、さっぱりとした味わいが食欲を刺激する。帰りがけのお客さんたちが、「美味しいのでよく来てますよ」と気さくに話してくれた。