武隈の松
竹駒神社にほど近い道路沿いに、根元から2本に分かれて繁る「武隈の松(二木の松)」がある。平安時代から知られた歌枕だ。源氏物語に登場し、その後、能因法師や西行法師が訪れ、1689年(元禄2年)には、松尾芭蕉が「おくの細道」行脚で立ち寄った。芭蕉は「武隈の松にこそ目さむる心地はすれ」と喜び、「桜より松は日本を三月越し」と詠んだ。東北の遅桜の時季を勧めてくれた俳句仲間に応える形で、江戸を発って三月越に対面した武隈の松の感動を記した。併設された「二本の松史跡公園」に佇んで松を仰ぐと、仙台入りを目前に有名な歌枕に接した芭蕉の高揚感が伝わってくる。松は何度も植え替えられ、芭蕉が見たのは5代目、現在は7代目という。
《金蛇水神社》
金蛇水神社は、商売繁盛や金運円満の神様として親しまれている。都の刀鍛冶の佩刀作りの故事に由来する雌雄一対の金蛇をご神体とし、千年以上の歴史を持つ。赤い屋根が緑に映える本殿・拝殿や、等身大の八臂弁財天を祀る金蛇弁財天社のほか、境内には推定樹齢300年の「九竜の藤」も見られる。通りをはさんだ向かいらは100種以上が咲き誇る牡丹園もあり、市民の憩いの場となっている。
最近の話題は、参道テラス(Sando Terrace)と参拝者休憩所。県産材をふんだんに使ったモダン屋根付きの参道の両側に、休憩処・食事処「IKoM oKi」(イコミキ)と土産処「MiZuHa」(ミズハ)が向かい合う。IKoMoKiでは、白蛇の形のナンを添えた「金蛇カレー」、境内で採れる蜂蜜を使ったソフトクリーム、蜂蜜レモンで鮮やかに色が変わる「紫陽花ティー」など、オリジナルのメニューが人気。