竹亭 大和別邸(大和町)
仙台のうなぎ料理店として、南光台本店と中山店を展開する竹亭が、2年前にオープンさせた「竹亭 大和別邸」。竹林を背景とした築100年以上の古民家を改築した建物は、入口前の照明にスペインのアンティークを取り入れるなど、モダンな佇まいだ。「父が、豊かな自然の中でおもてなしをしたいとオープンさせた店です」。そう話すのは、二代目の阿部英之さん。来年88歳を迎える初代は、東京で江戸前のうなぎ料理の修業を積み、今でも現役でうなぎの「焼き」を一手に担っている。
「オープン後に、文献を持参して教えて下さった方がいて、ここはかつて仙台藩主の御仮屋があった場所だそうです。」。御仮屋とは、殿様が狩をする際に休憩する施設。伊達政宗の三男・宗清は黒川郡の領主となり、吉岡城を築いた。政宗も七ツ森に鹿狩りに来ていたという。この伊達家ゆかりの地に立つ竹亭は、重厚感と解放感を併せ持ち、客室に身を置くと、時の流れがゆったりと感じられる。定評あるうなぎ料理の他に、特別なメニューとして登場するのが「大和町舞茸天ぷら」。
大和町といえばマイタケの特産地であり、せっかくの地元の食材をいかしたいと誕生した一品だ。大ぶりなマイタケは香りがよく、食べる前から幸せな気分になる。カラリと揚がった天ぷらを一口かじれば、サクッといい音。薄い衣の中から、マイタケの旨みが口いっぱいに広がっていく。塩、レモン、タレのいずれでもおいしいくいただける絶品だ。吉田川の源流域で養殖されている「大和町産伊達いわなの洗い」も、ここだけで食べることができるメニューである。活魚をお湯にくぐらせてつくる料理で、もちっとした歯ごたえと深い旨みが味わえる。