泰陽楼 東三店
青葉区中央の泰陽楼は、昭和23年(1948年)ごろから仙台で中国福建省の家庭料理を提供している。中国で子どもが特に好きな料理の一つに、天津飯があるそうだ。泰陽楼の天津飯は、酢が入っていない「甘だれ」を使っているので、味がまろやかだ。卵の中の、カニ、しいたけ、長ネギ、たけのこ、マッシュルームの旨みと味わいを豊かにしている。
どこか懐かしさを感じ、福建省と仙台の味付けは似ているのかと思いきや、店長の呂 義信さんは「野菜などの食材はもちろん、しょうゆや味噌も地元のものを使い、仙台の人々の好みに合わせています」とにっこり微笑んだ。天津飯のオーダーはあまり多くはないが、創業から70年以上ものあいだ残ってきたメニューでもあり、今も全力を注いでつくっているそうだ。
おすすめメニューは、野菜がたっぷりのった五目ラーメン。生の麺を茹でて焼いたやわらかい焼きそばや、肉汁たっぷりの餃子も人気だ。味が多彩な一方、ボリューム感は共通。「おなかいっぱい召し上がっていただくことが、当店の創業以来のモットーですから」と語る呂さんの言葉に、激動の昭和を生き抜いた人々のたくましさと優しさが滲み出ていた。