コーヒーハウス 純
大崎市鳴子温泉のコーヒーハウス 純は、昭和の洋画のレコードやポスター、ブリキの玩具がいたるところに飾られている。「古いものが大好きだから、捨てたくないんです」とオーナーの大沼覚さんは笑う。ポークピカタが、メニューにずっとあるのも同じ理由だという。豚肉料理としては、生姜焼きのオーダーの方が圧倒的に多いし、ポークピカタを知っている人自体、今はもう少ない。
しかし、この店を始めたときの目玉だったこともあり、思い出深いメニューなのだそうだ。昭和に流行った印象のポークピカタだが、運ばれてきたとき、そのイメージを覆すかのような輝きを感じた。肉をつつむ卵の衣の厚さが、ほぼ均等で美しいのだ。人参をはじめとした野菜をたっぷり使った深みのあるトマトソースや、やわらかい肩ロースの旨みも、洗練されたレストランのような味わいがある。
シェカーでつくるミルクセーキも、年に数回くらいしか注文がないメニュー。生卵の黄身はじめとした素材から生まれる独特で濃厚な味わいがあり、ぜひ残しておいて欲しいドリンクだ。コーヒーは淹れたて。ホットはもちろん、アイスコーヒーも注文を受けてから、サイフォンで一杯ずつ淹れている。昭和にタイムスリップしたような雰囲気のなかで、ハッとするような美味を体験できる店だ。