多彩な食の街 塩竈
竈は、全国有数のすし処であるほかフレンチ、イタリアン、中華などの名店も点在する、海の幸を生かしたグルメの街でもある。近年は「スイーツの街」としても売り出し中で伝統の和菓子のほか、特産の藻塩を生かしたチョコレートやケーキ、本格ジェラートなどの若者や女性に人気の店舗も目立つ。そんな食の街に昨年登場した新名物が、「海保カレー」だ。塩竈には第2管区海上保安本部と宮城海上保安部が置かれ、その巡視船・艇では航海の区切りとなる入港日にカレーを食べる伝統があり、各船でレシピが引き継がれている。
その味を生かそうと、塩釜商工会議所を中心にシーフード、ビーフ、フルーツキーマーの3種類を商品化、レシピを忠実に再現した「認定品」で提供している。停泊中の巡視船も臨める同市北浜の塩釜港沿いに昨年開店した「お食事処しお彩」は、ビーフカレーを提供。赤ワインに一晩寝かせた牛肉をたっぷり入れてコクのあるカレーに仕上げている。野菜の素揚げがのって、ボリューム満点の看板メニューだ。周辺は、津波被災後に防潮堤工事や区画整理事業で整備された新緑地公園で、「お店が並び、歩く人が増えて新名所新名物になれば」と店主の武田京子さんは期待する。
この北浜に隣接する新浜地区に塩竃市魚市場と塩釜水産物仲卸市場がある。震災の被災により全面建て替えられた魚市場は、生マグロなどが水揚げされるとともに、毎朝の競りも見られる見学路や魚食普及のためのおさかなミュージアム、市民向けのキッチンスタジオなどが設けられている。2階の展望デッキは、日本三景・松島を一望できる絶景スポットだ。少し陸側の塩釜水産物仲卸市場には100店舗が並び、業務用の仕入れのほか市民や観光客でも賑わっている。買った魚介類で自分だけの海鮮丼を作ることができる「マイ海鮮丼コーナー」が人気の的だ。