あなたま丼
アナゴは一年中流通していますが、旬は6月から8月。産卵を控えて身がふっくらして、皮もやわらかくなります。名前の由来は「海底に穴を掘って住んでいて、そこからゆらやらと出てくる姿から」という説が有力です。水揚げ量の一位は長崎県、二位が島根県、宮城県は三位です。実は三陸で獲れる真アナゴは、銀座の江戸前寿司で、高級ネタとして重宝されています。良質なアナゴが育つ条件である遠浅の海や波が穏やかな湾、豊富なプランクトンなどが三陸沿岸にそろっているのです。
また、仙台湾で獲れるほとんどのアナゴがメスであることも、高い評価の理由と言えるでしょう。メスはオスに比べてよく成長し、形も美しいという特徴がある。アナゴは他の魚の100倍近くのビタミンAを含んでいます。そのため、アナゴを100g食べれば、一日に必要なビタミンAを、ほぼ摂取できます。ビタミンAは目の働きを助け、皮膚を健康にする機能があります。疲労回復をはじめ、目の病気予防が期待できるEPAやDHAもたっぷり含んでいます。
アナゴは、うなぎによく似ていますが、脂質の量は約半分。植物油にも含まれるオレイン酸が多く、さっぱりさっぱりした味わいです。そのため、鰻は脂をよく落とすかば焼き、アナゴは煮付けや天ぷらなど、淡泊さを補う調理方法が合います。例えば、市販されている「煮アナゴ」を使って「あなたま丼」を作ってみましょう。暑い日でも食べられる、あっさりした風味です。7月5日はアナゴの日。美味しく食べて、夏を乗り切りましょう。