しらなかった!
最近のオヤジは落ち込んでいることが多いのですが、すぐに立ち直るのであまり気にかけていません。今日も今日とて少し暗い顔しています。朝食の時には上機嫌だったのに、どうしてかと思い聞いてみると、お母ちゃんが毎日(時々忘れる)昼食用に握ってくれる「おにぎり」が、いかに手間がかかり、負担になっていたかを生まれて初めて知ったというのです。ボクは、その話を聞いて思わず吹き出しそうになりましたが、オヤジの表情はいたって真面目でした。どういうことかというと、今朝の某テレビで、奥さんに向かって、夫に、「今日はおにぎりでもいいよ!」言われると、"むっとする"という話をしていたそうです。おにぎりと聞いて、おやじが耳を傾けるとテレビ番組の内容は次のようなものだったそうです。
奥さんたちが腹を立てているのは、「おにぎりでも」の「でも」というところだそうです。奥さんたち曰く。おにぎりは男どもが考えているような簡単なものではない。中に入れる具材、そしてその塩加減、ご飯を包む海苔、ふっくらとした握り方、分量など、かなり気を使うのだそうです。言われてみれば、自分もその無神経な男たちの中に入ることは間違いないと思ったようです。オヤジにしてみれば、どんなに忙しくても洗濯は欠かさず行い、必ず物干しにかけてから出社するお母ちゃんに気を使い、最も簡単な昼食として「おにぎり」を用意するよう頼んでいたようです。ところが、テレビに出演していた女性群のように、お母ちゃんも負担なっていたとしたら、大変な勘違いだったことになる。それも、数十年にも上る年月、まったく気が付かなかったことが悔やまれるというわけです。
もっとも、オヤジには是非とも昼食はおにぎりにしてもらいたいという理由がほかにもあったのです。それは、オヤジの仕事は、時間で区切りをつけるのが難しいと思っているが、そのくせ、一定した時間に必ず三食をきちんととらないと気か済まない。そこで、自分が簡単に食べられるおにぎりを所望している。もう一つは、どうしても食べ過ぎるので、量的に制限された目安を超えないようにコントロールするためである。いずれにしても、食べるのに簡単なことと、作るのに簡単なことは別物であることに、まったく気がつかなかった自分を情けないと思っているようなのです。実はその点ボクもオヤジと同罪なのです。普段は、「食事の用意は大変だよなぁ!」などという話は、オヤジと何度となく話したことはありますが、おにぎりを握るのがそんなに大変なことだとは思ってもみなかったからです。オヤジの場合は、まだ間に合うので名誉回復に努めてもらいたいと思います。