食美味(うまいもん)小路
広瀬通と国分町の角にある東芝仙台ビル・ホテルグランテラス仙台国分町の地下飲食店街には、「食美味(うまいもん)小路」と呼ばれる空間があり、大人心をくすぐる趣のある店が並んでいる。えんじ色の暖簾が迎えてくれる「てんぷら先斗町」。京都の花街と同じ店名にひかれて訪れる関西方面のお客様も多いという。活きの良さが自慢のエビの天ぷらは、注文を受けると生け簀から取り出して素早く揚げる。カラリと揚がった衣に包まれたプリプリの食感と甘みは格別。天つゆと4種類の塩(藻塩・桜塩・モンゴル塩・炭塩)が用意され、味のバリエーションが楽しめる。
「台湾風中国料理 燕来香」のおすすめは、濃厚なパイタンベースのタレをたっぷりまとったフカヒレの姿煮。オーダー後から煮始める古典的料理法で、弾力のある食感を残しながら、しっかりと味を浸み込ませて行く過程には、経験豊かな料理人の腕が不可欠だ。「シンプルで間違いのない一級品を提供したい」と料理長。口に入れた瞬間広がる深みのある味が、何ともいえない幸せ感をもたらしてくれる。格子戸を開けると、やさしい灯りに包まれた空間が街の喧騒を忘れさせてくれる「おめん」。ここの一番人気は、里丸さま。濃いめに仕上げ、一晩寝かせてコクを増した里芋の煮っころがしを揚げたものだ。熱々の揚げたてに粗挽きこしょうをふってサクッとほおばる。慣れ親しんだ家庭の味が、ぐんとレベルアップ。思わず笑みがこぼれる美味しさに、箸と共に杯も進む。
静謐な空間で、海の幸と日本酒に酔う贅沢な夜を過ごせる「古径」。6月から8月にかけてぜひ味わいたいのが、旬を迎える女川産ムラサキウニ。つやつやの身に、三陸の海の恵み凝縮されている。最高の食材を最高の状態で提供するという職人の矜持がうかがえる一品だ。にぎりでいただくのもよし。今しか味わえない自然の贈り物を存分に堪能したい。「タンのいいとこ出してます!」。店主の熱意があふれる「焼肉牛タン工房 兼」のおすすめは、Ken特性のタン塩。最高に柔らかい牛タンの根本のみを使った希少かつ贅沢な一品だ。絶好な塩加減で仕込み、時間をかけてじっくり熟成する。たっぷり旨みを蓄えた厚切りのタンを、そっと大切に焼き上げる。口にした途端、「うん、美味しい!」の一言が出るのは間違いない。