凜香飯店(若林区志波町)
全体になめらかなとろみがある、アツアツのスープ。熱さをこらえながら麺や具とともに口に運ぶと、柔らかな風味と甘みの後から酸味と辛味が追いかけてきて、しっかりとした刺激を感じる。幅広く愛される味を目指して作られている「凜香飯店」の料理の中でも、「スーラータンメン」は人気が高い。店主の菊池さんは曰く「酸味ともやしは相性がいい」とのこと。
酸味がしみ込んだもやしのサクサク食感はスピード勝負、一瞬の職人技できまるのだという。大阪の専門学校で学んだ後、仙台の四川料理店で13年経験を積んだ。厳しい世界だったが、四川の基礎は体に叩き込まれた。甜麺醤やラー油など、調味料からすべて手作りすることで学んだ味が再現できる。野菜など素材の色をいかすために、あんを濁りなく仕上げ、提供するときに最も美味しい状態にするための技を身に着けている。
課題はそのクオリティを維持しながら夫婦で店を回すことだった。2017年の開業以来、試行錯誤を繰り返し、時には口論もしながら今の形になってきた。根底には地域に根付き、支持される商売をしたいという二人の思いがある。客がつくまでは時間がかかった。「食べてもらえば定着してくる」という思いで続け、紹介、口コミで足を運んでくれる客が増えていった。「39歳で自分の店を持てたことが幸せ」と語る菊池さん。「次の目標が見えてきました」との言葉に、より地域に愛される店に育っていく未来がイメージできた。