中華料理 芝その軒(白石市清水)
JR白石駅前通りを進み、初めの信号を右に。駅から徒歩数分の所にある「芝その軒」は創業65年になる老舗中華料理店。庶民的な味と心地よい空間で幅広い層に愛され、遠方から訪れる常連客もいるという町中中華店だ。初代は89歳まで厨房に入ったという。地元中華店で学んだ後は、持ち前の探求心で芝その軒の味を作り上げた。子供の頃からいつも当たり前にそばにあったその味を、現店主の芝辻さんが改めて意識したのは学生時代。
たまたま訪れた東京で、白石出身者から聞いた「地元に帰ると必ず食べに行っている」という言葉がきっかけだった。父とともに厨房に立ったのは約10年間。自家製麺はラーメン用の粉に中力粉を混ぜたものを使い、かんすいを少なく、1~2日寝かせて成熟させる。スープは豚ガラ中心に鶏ガラを加え、下処理は念入りに時間をかける。引き継いだ味の基本は守りつつ、年月を重ねるごとに芝辻さんのこだわりと工夫が加わって、今の味になっているという。
創業以来の看板メニュー「タンメン」のほか、芝辻さんがすすめるもう一品は「広東麺」。特徴は「「ショウガで味わいをさっぱりさせている」とういうこと。たしかに、雑味がないから、醤油味のスープをすすると少量加えたショウガの香りがふんわりと感じられる。甘みも同時に口の中に広がり、ほっとする味わい。コシハリがしっかりした自家製中太麺にあんを絡ませて、アツアツをふうふうしながら、たっぷりの具と共に豪快にほおばって食べたい一品。