食堂ぎん八(若林区河原町)
「一番じゃないところがちょうど良い」と語る店主の及川さん。将棋で2番手、3番手の「銀」に末広がりの「八」を合わせた「ぎん八」の名には、ご縁が広がってほしいという思いも込めた。「ぎん八」の毎日はお客様とともにある。休みは月1回、休憩は取ったり取らなかったり、ラストオーダーも閉店時間もあってもないようなもの。その時々に訪れるお客さんとのコミュニケーションでその日、その月の流れが決まっていく。
「何がうまいかは自分には決められない」という言葉も印象的。お客さんあっての「ぎん八」、その強い思いが伝わる。あったかいものをお腹いっぱい食べてもらうためなら、手間暇は惜しまない。「スタミナにんにくらーめん」は、美しい巻のチャーシューや一目で味染み具合がわかる玉子、自家製のネギダレなどが惜しみなくトッピングされ食欲が刺激される。
中央にガッツリのせられたすりおろしにんにくと合わせながら味の変化を楽しむもよし、最初からしっかり混ぜ合わせながら味の変化を楽しむもよし、最初からしっか混ぜ合わせてハーモニーを楽しむもよし。ボリューム満点の一杯を最後まで楽しみながら食べてほしいという思いがあふれている。15歳のときに蕎麦屋で働き始めてから飲食の仕事に携わり続け、60年になる。「美味しいと思って食べてもらいたい」「元気になって笑顔で帰ってもらいたい」。そんな思いを胸に力を尽くしてきた。これからも体が続くかぎり、地域の人々の胃袋と心を満たしていくことだろう。