名取川と七北田川を結ぶ「新堀」(2)
震災後、新浜の人たちはこの土地で生きていくことを決め、新浜地区は海岸部に人が住み続けている数少ない場所になった。ここで生まれ育った遠藤源一郎さんは新浜町内会で活動している。「地区の世帯数は震災前のほぼ半分。人口は3分1になり、高齢化率も高くなりました」。
町内会の人達は、様々な分野の研究者や市民団体、行政の人達など「みんな」で自然と防災の調和を追求した地域を目指している。「新浜は、江戸時代から海岸林に守られ、助けられて、海と海岸林とともにあった集落です。以前は明治時代に掘られた運河を馬舟で渡っていましたが、昭和40年代に橋が架けられました。その橋は震災の津波で壊れて撤去されました。橋が無くなり海に行けないので、余計に運河を意識するようになりました」。
新堀沿いには、体験型観光農園「JRフルーツパーク仙台あらはま」やレンタサイクルが利用できる「海岸公園センターハウス」、子どもが自由に遊べる「海岸公園冒険広場」など見所も多い。海があって、砂浜があって、砂丘があって、運河があって、湿地があって、人々の暮らしがある。人と自然が共存しながら復興に向かう姿が、そこなある。