新型コロナウイルス感染への予防法は?
WHO(世界保健機関)は、30日夜(日本時間1/31日未明)、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」宣言を出した。中国以外にも感染が広がり始めた事態を重くみて、感染拡大防止には国際的な協力態勢が必要と判断した。ただ、現時点では中国への渡航や貿易の制限などは必要ないとした。しかし、このWHOの宣言を受けて国民はどのように行動すべきか、という対処方が全く分かりません。専門家の解説によると、あまり怖がらず"賢く怖がる"ことだと言います。具体的には、「マスクの着用」「うがい」「手洗い」という3点セット励行ということのようです。でもこの方法は、従来型のインフレエンザと同じではないでしょうか。今回流行している新型コロナウイルスには、ワクチンが開発されていないので、特に丁寧に行うよう呼び掛けているということなのかもしれませんが、説明を聞いていると、ますます不安が募るばかりです。ましてや、感染しても発熱や咳などの症状が全くない人からも菌を貰うこともあると聞くと、家の中に閉じこもるしかないように思います。
だが、さすがにこれは現実的ではありません。完全の社会とのつながりを断つということになれば、会社に行けないし、食材の買い出しに出かけることもできないわけですから、感染拡大が治まるのを祈りながらただ待つしかない。もしも、コロナウイルスに感染したとしても、発症するとは限らいというし、最悪の場合、発症したとしても命を落とす可能性はそれほど高くないということですから、あまり神経質になり過ぎて家に閉じこもっていれば、間違いなく餓死します。賢く怖がるというのは、このあたりのことを云うのでしょう。医師で作家の鎌田實先生の解説によりますと、人から人への感染について「2m以内で30分以上いっしょにいなければ濃厚接触とはいえない。インフルエンザでの死亡者は1820人、なので新型コロナウイルスといえども、極端に恐れることはない。油断は禁物だが、あまり神経質にならずに、インフルエンザに対する予防程度の注意で対応すべき」ということです。これまでの専門家のコメントよりもかなり具体的なので、少し安心はしたものの、何かが解決したわけではないので、当面は、上記の3点セットを励行するしかないのでしょう。
経済的影響も甚大なもので、国内経済に与える影響は、一説によると3400億円ともいわれていますが、世界全体では膨大なものになることは避けられそうもありません。しかし、それにも増したて怖いのは、情報の一人歩きです。ただでさえ人種差別などが問題になっている時期に、人としての尊厳を傷つけるような言動は厳に慎まなければなりません。人が存在することによって、経済が成り立つのであり、経済活動を支えるために人がいるわけではないので、そこのところを理解する必要があります。折あしく、ウイルスに感染し、間接痛や発熱に苦しんでいる人たちがいる。経済的損失を嘆いている人もいる。その一方で、自分は感染しないようにひたすら願っている人もいます。どの立場の人の悩みが一番深刻かは、一目瞭然のはずですが、その立場に立てば、自分の悩みが一番だと思うのは仕方ないことです。しかし、少なくとも現代社会で生きている私たちは、お互いに尊敬しあい、譲りあり、助け合わなければ、成り立たない構造になっています。例えば、お客さんがいなくなれば、店も商品もいらなくなるので、製造業も必要なくなります。これらの人々は、まったく別の人間ではありません。