うさぎ屋
だんごといえば、お正月。お月見と言えばうさぎ。「お子さんからご高齢の方まで皆さんから親しまれるよう、わかりやすくて、可愛らしい店名にしようと思ったんです」と話すのは、仙台市宮城野区高砂の「うさぎや」代表取締役 河内山正紀さんだ。平成10年の創業以来、常に変わらない味を守り続けてきた。河内山さんが考えるだんごの魅力は「市井の人々のための、気取らない和菓子」。串にささっているので、黒文字楊枝や皿がなくても食べることができる。
うさぎ屋のあんは、北海道産の小豆を使ったこしあん。仕上は、大きなあん練り機で、低温でじっくり煮詰める。ポイントは、砂糖を少なめにすることと、火加減に気を配ること。気温や湿度によって、あんの状態も変わってくるので、いつも同じというわけにはいかない。練り機の中が熱くなるとあんがはねるため、ふたを閉めて攪拌する。中が見えないので、ブクブクしいう音が生じないよう、耳を澄ませながら火の大きさを調節するとのこと。
待つこと約1時間。ヘラですくったときの手にかかる負荷で、仕上がりを確認する。店舗では、注文を受けてからだんごにあんを塗る。客は、しょうゆだんごを試食したり、カウンターの奥の作業場を見たりしながら、わくわくして待つ。ほどなく、たっぷりあんをまとっただんごを受け取り、一口。だんご生地の味わいの後に、ほどよい甘さのあんが、口の中ですうっと溶けていく。作り手の気持ちが伝わってくるような、やさしい美味しさだ。