田中酒造店 大崎蔵
ストレートでそのまま飲める、さらりとした飲み心地が人気の「糀みるく」。仕込みは早朝5時からで、タイミングを合わせて仕込んだ糀が出来たらすぐに湯と混ぜ、6時間ほどかけて発酵。殺菌ための火入れ作業をしてその日の夕方には瓶詰を終える。「糀が一番元気なうちに仕込み、作業の間に雑菌を入れる余地をなくしてつくるのがこだわり」と話すのは製造部長の関信光さん。
甘酒づくりのスタートは10年前。「昔の日本酒蔵では酒造りが終わる春先になると甘酒をつくって近所に振舞う習慣があった」と、長年の経験を持つ南部杜氏が思いで話をしたことがきっかけだった。だが発売当初はなかなか売れず、モニター調査を繰り返し、5年ほど前に関さんが中心となって改良して今の味に辿り着いた。蔵はその後、2016年に日本酒「真鶴」で知られる加美町の田中酒造店と合併し、現在は「田中酒造店 大崎蔵」として甘酒を専門に作っている。
改良した味わいにはリピーターが増え、昨年はこれまでで一番の売り上げになった。甘酒をつくる中で印象的だったことがある。気分が落ち込みがちだったお客さんが、「糀みるく」を飲んでいたら癒され元気が出たと、取引先の人が連絡をくれたのだ。「体にいいといわれますが、気持ちもやすらぐといわれてうれしくて...。これからもそんな風に人に寄り添える商品を作り続けたいです」と関さん。