古民家岩松
栗原市の農村に特有の長屋門を備えた建築が見ものの「古民家岩松」。300年続く農家で、現在の建物は気仙大工が腕を振るい、明治36年(1903年)に完成したものだそうです。当時の富農の家を示す重厚な造りです。長屋門の軒下には昔の農機具が展示されています。脱穀機や水車、唐箕(とうみ:稲や大豆などを脱穀後に籾穀や屑を送風で選別する道具)、そして昔、迫川が氾濫して洪水になった時、避難に使った木造の平底舟もあります。
母屋の玄関を入ると、広い土間と囲炉裏のある板の間、太い柱と梁が見事な高い天井に目が奪われます。奥の座敷には組子細工の欄間の上部に、室内には珍しい鏝絵が飾られています。板の間で供される食事は「はっと膳」(要予約)。キノコやネギがたっぷりのはっと汁に肉料理や揚げ物、季節折々に採れる野菜のサラダ、漬物が付いています。ご飯は炊きたてのひとめぼれ。米は低農薬、野菜は無農薬の自家栽培だという。
生き生きとした野菜とホカホカのご飯のおいしさに、自然と顔がほころぶ。ふらりと訪れても、はっと汁やソバなどの軽食、コーヒー・紅茶とチーズケーキがあります。店を営む松岡剛さん・せつ子さんは、伊豆沼を訪れる人々の休む場所にしたいと家を公開しました。「古い家の造り、昔の農家の暮らしを見てもらいたいですね。そしてお茶でも飲みながらゆっくりしていってください」と話し、若柳の農家の暮らしを伝えようとしています。