古民家カフェ甘欧(アモー)
北上川に注ぐ沢沿いにある長閑な集落に、手作りの小さな看板を掲げた「古民家カフェ甘欧」があります。店主の伊藤秀作さん・由紀恵さんがフランス旅行をした時に、ヴェルサイユ宮殿の中に造られたアモー(貴族が城の敷地内に農家を住まわせて農作業を行わせた牧歌的風景の小規模な農村)を見て感動し、漢字を当ててカフェの名前にした。自給自足的生活をしたいと思っていた秀作さんは、この地域と古い家が気に入って石巻から移住、由紀恵さんとともにコツコツとリフォームしてきた。
敷地内にはヤギやアヒル、鶏がいて、自由に遊んでいる雰囲気です。小麦と野菜の畑があり、家畜がいる農家の風景に自然と心が和んできます。母屋に入ると、土間と板の間がオープンに続いている。鉄瓶を下げた囲炉裏があり、障子から漏れる柔らかな光が部屋を包みます。囲炉裏でいただくのはしゃれた「アフタヌーンティー」。二段重ねの漆塗りの膳に、キッシュ、サンドイッチ、スコーン、ケーキなどの品が盛りだくさん。食事代わりになるボリュームです。和洋を組み合わせた食器の彩りもきれいです。
大手菓子店に勤めていた由紀恵さんが季節ごとに変わる食材を生かすメニューで腕を振るう。コーヒーは秀作さんが石窯で焙煎して丁寧に淹れる。材料の小麦は自家栽培で風味がよくなる天日干し、卵も放し飼いしている鶏から採取。ヤギの乳が採れる時はチーズケーキやアイスクリームに使うこともある。果物は近隣の農家から仕入れたもの。「自分が美味しいものを食べたいですね。だから、手間をかけて料理しています。グリーンツーリズムで農家生活体験(宿泊)もできますから、ぜひ足を運んでみてください」。