田邊菓子店(登米市登米町)
店内に入ると歴史を感じる菓子の型や賞状が並び、1880(明治13年)の創業から伝統的な菓子作りをしてきたことが伝わる。「太白は白い砂糖を指す古い言葉。太白飴は砂糖が貴重な時代に、もち米と大麦だけで作られたもの」と店主の田邊治通さんが教えてくれた。
「田邊菓子店」の「太白飴」は独自に考案された製法で作られていて、柔らかい食感が特徴だ。水に浸して芽を出した大麦と蒸したもち米を湯に浸けると、大麦の酵母がもち米ののでんぷんを糖に変え甘い汁ができる。これを煮詰め「水飴」を作りさらに煮詰めた後、あめ引きの作業で手早く空気を含ませながら練ると、口どける良い飴になる。麦芽の生育に向く冬が旬。
溶けやすいため10月から5月中旬に限って販売する。田邊さんは五代目。中学の頃から手伝いをし、製菓学校で菓子作りを学んだ。水あめ作りの仕込みからするようになって25年になる。「かつては農家でももち米で水あめを作っていました。この水あめときな粉を絡めた飴餅はお正月に欠かせないものでした」。太白飴を作る店が希少になる中、米から作る飴の文化を今も守り続けている。